京急蒲田駅連続立体交差化工事(2009年7月5日取材)


京急蒲田駅の北側で交差する多摩堤通り(都道11号線)

Yahoo!ブログ時代から継続してお伝えしている京急線の京急蒲田駅高架化工事ですが、前回の訪問から約1年が経過しましたので7月に再び訪問してきました。なお、本事業の概要については前回訪問時(2008年9月)の記事をご覧ください。

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京急蒲田駅周辺連続立体交差化事業(2008年9月3日作成)

■京急蒲田駅付近
高架化完成後の京急蒲田駅は2階が上り線、3階が下り線の2重高架となります。いずれも島式ホーム1面+切り欠きホームの構成となり、現在は1線のみとなっている空港線の上下列車の分離が可能となるほか、本線の列車の追い抜きが可能となり、現在よりも格段に余裕のあるダイヤ構成が可能となります。
高架橋架設に際しては線路の周囲が住宅密集地であり仮線用地が確保できなかったため、線路上に仮設の台を造り、そこから移動式のクレーンなどを使用して線路の真上に高架橋を建設する「直接高架」と呼ばれる工法が使用されています。用地幅が狭いため、高架橋はほとんどの区間で省スペース化が図れる鋼製の橋脚や桁を使用しています。


左:環状8号線都の交差部。2層構造の高架橋が完成している。
右:その直下を通る下り線。上り線は2008年に仮設高架橋により高架化されている。

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7月時点の京急蒲田駅付近は下り線となる2層目の桁の架設が行われており、駅の北方にある多摩堤通りや南方にある環状8号線の踏切上空ではすでに工事が完了していました。2層目の桁は地上から10m以上、ビルの5~6階付近に相当する高さとなります。このため、線路際に建っているマンションの中にはほとんどの部屋が常に日陰になってしまうという建物もあるようです。「日照権」という権利がすでに一般化した現在、この辺りの補償をどのように行っているのか少々気になるところです。


左:京急蒲田駅の南側にある踏切。ここも高架橋の架設がほぼ完了している。
右:その直下の様子。右へ分岐する線路は空港線ホームに通じる。横浜方面から来た列車はここを通りスイッチバックして羽田空港へ向かう。

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国道15号線(第一京浜)と交差する空港線。ここも2層目の桁の仮説がほぼ終了している。なお、写真中央には踏切で待たされている救急車の姿も見える。第一京浜は緊急自動車の主要な交通路ともなっており、都市の安全確保という面からも早期の高架化が望まれている。


京急蒲田駅ホーム。上空は完全に高架橋で覆われ、日中でもこのように常に暗い状態となっている。線路の形態は昨年と比べ特に変化は見られない。


駅の北側を通る多摩堤通りの踏切から京急蒲田駅構内を見る。左に分岐するのが空港線。

羽田空港では来る2010年10月に4本目となるD滑走路の完成が予定されており、これに合わせて国際線専用のターミナルビル増設と発着枠の拡大が予定されています。これにより、航空機の年間の発着回数は現在の28.5万回から40.7万回へ大幅に増加する見込みです。また、去る2009年10月には民主党への政権交代により国土交通大臣に就任した前原誠司氏より、羽田空港を国際的拠点(ハブ空港)化する方針が示されています。このような情勢から東京都心と羽田空港の間のアクセス改善は喫緊の課題となっており、京急本線と空港線の分岐点であるここ京急蒲田駅の改良がその成否を左右しているといっても過言ではありません。
なお、羽田空港へのもう1つのアクセス鉄道である東京モノレールについても浜松町駅のホームが2面1線と非常に狭小な設備となっており、これ以上の増発が不可能となっています。そのため、去る2009年6月に東京モノレールから浜松町駅のホームを2面2線化する計画が発表されました。総工費は250億円、工期は6年半の予定となっており、改良後は1時間当たりの最大列車本数を現在の18本から24本に増やすことが可能となります。

■梅屋敷駅・大森町駅

高架化工事中の大森町駅。橋脚が立ち並んでいるためホームの品川寄りは特に狭い。快特はこれまで通り120km/hで通過するため、この狭い部分で列車を待つのはやめたほうがよい。

京急本線の雑色・梅屋敷・大森町の3駅と空港線の糀谷駅も今回の事業に合わせて高架化されます。7月時点ではいずれも線路上空の高架橋建設がほぼ完了しており、間もなく軌道敷設が始まるといった状況でした。

▼参考
都市高速鉄道 京浜急行本線(平和島駅~六郷土手駅間)及び同空港線(京急蒲田駅~大鳥居駅間)の連続立体交差事業について - 京浜急行電鉄(PDF)
大田区ホームページ:京急立体交差事業の概要
大田区ホームページ:京浜急行線の連続立体交差事業と関連する街路事業
羽田空港(東京国際空港)_東京空港整備事務所(国土交通省)
東京モノレール/浜松町駅を複線化/事業費260億円、東京駅延伸も視野 - 日刊工業新聞

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